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私が思う幸せは、あなたが思う幸せじゃなかったの。

シンデレラガールズは中年童話

 アニメ『アイドルマスター シンデレラガールズ』についてのお話。

その前に青年童話と中年童話について。
 
 誰だったか、アメリカのユング派心理学者の書いた本に『大人のための心理童話』というのがあって。
流し読みしかしてないけど、結構面白い内容でした。
そこでメインに扱われたのが“中年童話”、一緒に登場したのが“青年童話”です。
青年童話は『シンデレラ』や『白雪姫』と言った、お姫様と王子様が出会って、魔法の力を借りて幸せに暮らしました、となる童話。
 
 中年童話はあまり有名なのがないけど、グリム童話の『小人と靴屋』はその中では有名なもの。
寝てる間に小人が靴を作ってくれるなんてまさに青年期と同じ魔法、しかし靴屋の夫婦が小人にプレゼントをするとそれ以降、小人たちは姿を消してしまう。
魔法で幸せになって終わる青年童話とは違い、物語の途中で魔法が切れてしまう。
でも、二人は自分たちで靴を作って売って、その後も幸せに暮らす。
中年童話はこんな感じで、登場人物が魔法ではなく自力で生活していくぞ、みたいな感じです。
 
 あらすじを丁寧には追わないです、すみません。
6話および7話で、本田未央は自分たちのデビューイベントの観客の少なさに自信を失ってしまう。
全くの無名であれだけ客がいれば成功の部類なんですが、その前に大人気アイドル城ヶ崎美嘉(姉ヶ崎)のバックダンサーとして大量の観客を目にしている。
7話の終わりでは無事にアイドル続行を決意して、ちょっと武内P(主人公)の過去について描かれたりして、視聴者は「シンデレラの内容をなぞっている」と大満足の模様。
もちろん私も、アニデレの出来には大満足して青年童話(シンデレラ)だなあと思ったりしました。
 
 でもちょっと考えて、今後の展開は分かんないけど、このストーリーって中年童話なんじゃない?
まず、姉ヶ崎のバックダンサーとしてたくさんの観客を目にした経験。
これが未央を含む三人(卯月、凛)が実力で得た経験か否かと言えば後者であり、『シンデレラガールズ』における魔法だ。
でも、自分たちの前にいた観客の数を見て未央は魔法が切れて現実に引き戻される。
 
切れた時点で青年童話は終わり。
でもきっと、未央は卯月や凛、346のメンバーや武内Pと力を合わせて励まし合って、魔法に頼らず自分たちの力でアイドルになっていく。
そう考えると、今回の内容は中年童話に思わされました。
もっと大きく見れば、ゲームでは課金という魔法で、アニメでは彼女たちの実力で!
シンデレラガールズ』はただの青年童話から中年童話に変わっていく。