視界良好、障害物なし。

私が思う幸せは、あなたが思う幸せじゃなかったの。

貫井徳郎『乱反射』

久々に小説を読了しました。

中途半端に読んで放置している本はたくさんあるんですけどね……最後にちゃんと読んだのは貴志祐介の『黒い家』と小池真理子の『墓地を見おろす家』だと思います。
家シリーズ。

 Amazonのとある特集ページで紹介されていて興味を持った貫井徳郎の『乱反射』。
Amazonで知ったのだからもちろんAmazonで買いました、近所の書店を回ったけど見つからなかったわけじゃないよ、ホントホント。
『乱反射』は週刊誌の連載小説で、09年に朝日新聞社から出版されました。
特に関係ないと思うけど今作の主人公の職業は新聞記者です。

 ちなみに主人公と書きましたが、今作は9人の視点で物語が進みます。
1つ前に感想を書いた『428 〜封鎖された渋谷で〜』みたいな感じ。
そういえば、あっちの主人公は加納でこっちの主人公は加山って名前だ。
『428』は誘拐犯を逮捕する、雑誌原稿の締め切りを守る、……など個々にさまざまな目的があり、それを達成しつつ全体のシナリオとしては渋谷の街を守るというHAPPY ENDを目指すもの。
こちらは逆というか……それぞれの些細な自分勝手な行動が重なり、殺人事件というBAD ENDを招いてしまう。

 たとえばビニール傘を借りパクしたとか、赤信号を渡ったとか、歩きスマホをしていたとか、誰でも一度は身に覚えがあるような、警察に見つかっても注意や少しの罰金で済まされるような些細な違反行為。
あの3つに該当するものがなくても、何か1つくらいは思い当たる行動が誰にもあるのでは?

それを誰かに指摘されたら、それが殺人に繋がったんだと言われたら?

 自分は悪くないって言うよね?
あなたが傘を一度だけ借りパクしたせいで人が死んだんですよ、と言われてハイごめんなさい! とはならないよね?
たしかに自分勝手な行動だし理由だけど、人殺しとして責められるほどの謂れはないって思うんじゃない?
そんな些細な自分勝手を責められるほど、相手は完璧超人なのかって逆に怒るんじゃない?

 前置きがめちゃくちゃ長くなってしまいましたが、『乱反射』すごく面白かったです。
それぞれの些細な行動、何となくここが鍵になるんだろうなと検討はついてました。
ドミノ倒しのようにどんどん迫ってくる殺人の瞬間、不明瞭だった行動の繋がりがやっと見えた瞬間。
私には爽快感としか言い表せないんだけど、この小説に「爽快感」という言葉は不釣り合い。

なぜなら、自分がこの殺人に加担してしまう可能性が全くないと断言できないから。
今まで殺人に加担してきたことはないと断言できないから。
もしかしたら自分も殺人の片棒を担いでしまっているのかも、と後ろめたさを感じずには読めなかった。

 昔読んだ小説にこんな台詞があったのを思い出しました。
仕事が細分化されると罪悪感が消える。
「たしかに自分勝手な理由だけど、人殺しとして責められるほどの謂れはない」ってまさにこのこと。
逆に、過程が細分化されたからこそ誰かを殺人犯だと責めることも出来ない。
そして、自分も些細な違反行為をしてきたからこそ相手を責める権利はない。
些細な自分勝手が殺人に繋がってしまった人を犯人だと責めるなら、過去に些細な自分勝手を行ったこの自分も犯人の一人であると。

 だからって些細な自分勝手を肯定する小説ではない。

些細な自分勝手が殺人という壁にぶつかったとき、責任転嫁や開き直りなどの四方八方に乱反射してはいけない。
己の自分勝手さを認めて償え、というのが『乱反射』の伝えたいことなのかなと思いました。

 結局これを殺人と言えるのか?
死んでしまった子供も、自分勝手が連鎖した人たちも、ただの不運だったのか?
いや〜連鎖ってこわいね、人間は無責任だね、社会って怖いね〜!
特集ページで『乱反射』と書いた人のセンスに脱帽です。

 

普段はあまり内容に言及する感想は書かないんですが珍しく書いてみました。
読んで分かるようにとっ散らかった乱文になってしまうのが苦痛で……文章構成上手くなりたいね……。
内容に言及しない感想を最後に書いておきたいと思います、雨宮天さん1stライブ大阪、優勝。

428 〜封鎖された渋谷で〜

積みゲープロ所属の積みゲー名人キラキラ系がまたゲームを終わらせたよ!
そろそろ槍が降るよ!

428 〜封鎖された渋谷で〜』は2008年にWiiソフトとして発売されたサウンドノベルゲームであり……みたいな基本事項は調べてください。
キラキラ系もよくわかってないんで。
複数の主人公を操作して、それぞれの物語を進めて最終章を目指す感じです。
開発元のチュンソフトはあの有名な『かまいたちの夜』シリーズも手掛けるメーカーで、キラキラ系のめちゃくちゃ好きな『ポケモン不思議のダンジョン』シリーズにも携わっちゃってます。

428はノベルゲームなんですけど、よくある美少女ノベルゲームとは違って全部実写です。
でも美少女は出てくるよ! キラキラ系は大沢姉妹単一神推しです!
この手の実写ゲームは初めて知ったわけじゃないです。
ゲームのプレイ実況動画を好きな友人(当時)からとある人の動画を勧められて、そのシリーズを見終わった後に手を出したのが百物語ってゲームの実況動画でした。
でも私、チキンなんですよね……ホラーで実写ときたら怖すぎて、1話すら見ることなく動画を閉じました……。

428はWiiとかプレステとか据え置きハードから出てるみたいなんですが、私はどれも持ってません。
Androidアプリでプレイしました。iPhoneアプリもあるよ!
リリースそっちのほうが先だよ!
ワンコイン(500円)だからと勧められて去年の9月に購入しました。
さっき見たらGooglePlayはまだワンコイン価格でした。やっぱりAndroidがナンバーワン!
AppleStoreの価格は各自調べて。

システム面の感想。
画面をスワイプするとバックログや大まかなあらすじを出せたりするんですが、うーんちょっと難しかった。
多分据え置きハードならそんなことないんでしょうけど、バックログを出したいのにあらすじが出ちゃったりします。
頑張ってコツを習得しようね。キラキラ系は最後まで習得できませんでした。
長時間起動してるとアプリが固まっちゃったりするけどオートセーブ機能があるので安心。
オートセーブをオンにして損はないです。
ただ、所謂セーブポイント的なのがあって、最後に読んだそこから即再開とはいかないのがちょっともどかしかったです。
アプリ版で気になったのはこれくらいで、回収済みBADENDを確認できたり、タイムチャート機能でどの主人公がどこまで行ったか確認できたり大体便利です。

複数の物語が最初はあまり関係なく、物語が進むうちに密接に関わり合っていきます。
なので、主人公1でAの選択をすると主人公2がBADを迎えたり……。
ちなみにBADは85個あります。よくBADになります。
BADを回避するために他の主人公を選び物語を進める、あるいは時間を戻して選択肢を選び直す。
この手のゲームは初めてで、正直ものっっっっっすごくめんどくさそうまともにプレイ出来るのか不安だった……。
慣れればどうってことないし、通常ENDもtrueもボーナスシナリオも開放したよ!

シナリオは、まあある程度プレイしてればあ〜こういうことなんだろうなって予想できると思います。
私は一番最後の仕掛け(?)には気づけなかったけど。
一文が短く読みやすくてスピード感があります、テンポがいい。
前記事のにくにく感想では「シナリオが長いと中弛みで飽きる」的なことを書いたんですが、428ではそういうのがなかった。
展開がある程度分読めてても、そこまでの運びや登場人物同士のやりとりが面白くて退屈することがなかったです。
メーカーファンからはボリューム不足と言われる声もあるらしいですが、こんなにやったのにボーナスシナリオも隠しシナリオもまだあんのか……BADも85個あんのか……ハァハァ……。
どう間違えてもワンコインでボリューム不足と感じることはありません、Google Playはアド!

ある特定の条件をクリアすると開放されるボーナスシナリオは2つあり、片方(カナン編)はTYPE-MOON奈須きのこがシナリオを書いてます。
ちなみにキャラデザもTYPE-MOON武内崇です。
TYPE-MOONと言えばアニメ化もされてるFateシリーズや空の境界で有名なエロゲメーカーです。キラキラ系は空の境界が好きです。
型月信者Android部はワンコインでフルボイスの奈須シナリオが読める428を買え。

このカナン編、428本編と雰囲気がかけ離れすぎてて蛇足だとか結構言われてる。
あと有名エロゲライターあるある、文章の癖がすごい。
私は違和感なく読んでて途中で「あっこれ奈須なんだ」って思い出してた。
カナン編キャストに興味がない、ちらっと読んで文章が苦手だった、とかの人は読まないほうがいいのかな?

あ、キラキラ系はカナン編好きです。
本編の展開がある程度読めてた分、カナン編面白かったしまあ全体的にオッケー! ってなりました……きっとマイノリティー意見だと思うので、サイレントマイノリティーになっておきます。

まとめ
おすすめです。

死に逝く君、館に芽吹く憎悪

積みゲープロのキラキラ系が久々にエロゲをやり終えたよ! わーい(^o^)
バグシステム最新作の『死に逝く君、館に芽吹く憎悪』です。
原画はSkyFish pocoやぱじゃまエクスタシーのるび様。
シナリオはeuphoriaやフラテルニテ、DARK BLUEの和泉万夜。
彼女彼女彼女とかピュアガールにも参加してるよ!

察しの通り陵辱ゲーです。
原画、グラはキャラゲーにありそうなもの、ミドルプライス、ということで初心者におすすめの陵辱ゲーだと思います。
ミドルプライスも陵辱ゲーもキラキラ系は初めてプレイしたけどね!

シナリオは結構面白いです。
あと文章に癖がなく読みやすいのもよかったです。
文学的なのをお求めだったら多分違うけど。
全体的なクオリティーはeuphoriaと比べて少し劣るらしいですが、私はそっちプレイしてないので分かりません。
ミドルプライスにしても少し短いのではと言う人もちらほらいるんですが、他のミドルプライスはプレイしてないので分かりません。
私はフルプライスだとシナリオ中盤よくある中弛みに飽きて放棄して、そこから積みゲーへ……となることが多いので、これくらいが一気にやれて結構好きです。

プレイ時間は結構短かったと思います。
trueは後回しにしたかったので最後の選択肢だけ確認しておきましたが、それと追加シナリオを除けば攻略は見てないです。
ギャラリー全部回収して半日かからないくらいでした。
trueを最後にするつもりだったんですが、追加シナリオがちょっとめんどくさくてこっちが最後になっちゃいました。
ある程度ギャラリーが埋まってきたら攻略を見たほうが確実かなと思います。

私はあんまりエロゲのシステムにこだわらないタイプなのであれなんですけど、特に困ることはなく使いやすかったと思います。
ちゃんとボイスカットをオフできます! やったね!
CGは「これ実は三人くらいいない??」みたいなやつもありましたが、エロゲではよくあることなので。
こういうキャラゲーでよく見るタイプの原画の陵辱ゲーってあんまりないんで、それだけでも個人的にはかなりよかったです。

あとBGMもなかなか良曲揃いです。
絶叫にかき消されるので大きめに設定しましょう!
私は初期設定からいじってないです!
初陵辱ゲーなのでその手の演技がどうとかは言えないんですけど、あ〜のど壊すのもわかるわ〜って思いました。
演技で一番好きなのは追加シナリオの美亜ですね。

歯切れが悪いけどおわりです……。
シナリオよくて絵もよくて、さらっとクリアできるお手軽陵辱ゲーです!
おすすめ!

引用

 自分が情熱を剥き出しにできない分、人が何かに情熱を傾けてるのはいいもんだなあと思う。

たぶんあたしには自虐的な部分があって、自分にはできないと疎外感を感じつつ憧れている、という状況が気に入っていたのかもしれない。